データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業を推進し、官公庁、自治体、研究・教育機関をはじめ、 さまざまな公共分野のお客様をITの側面から支援してきた株式会社日立製作所 公共システム事業部。現在、SHIFTの取引先として統合型 ソフトウェアテスト管理ツール”CAT“を活用いただいております。インタビュー前編では、公共系プロジェクトの難しさやテストフェーズにおける特徴、CATご導入に至るまでの経緯についてお伺いしました。

株式会社日立製作所 公共システム事業部
官公ソリューション第一本部 審判開発センタ

センタ長 瀬上 知範 様
主任技師 安藤 慎一郎 様、金澤 稔 様
技師   安田 篤史 様、今井 和紗 様
株式会社日立製作所 公共システム事業部
官公ソリューション第一本部 審判開発センタ

センタ長 瀬上 知範 様
主任技師 安藤 慎一郎 様、金澤 稔 様
技師   安田 篤史 様、今井 和紗 様


シビアに求められる品質の高さ
安全性を担保したシステムを確実に届けられる強み



―公共システム事業部はどのような組織ですか?


官公庁、自治体、研究・教育機関など公共分野のお客様を中心に、IT・デジタルソリューションで支援している組織です。国家基盤を支える大規模システムの開発、自治体DX推進支援、交通情報を活用した各種データ分析・可視化ソリューションなど、生活者の暮らしをより良いものにし、より豊かな社会づくりに貢献する取り組みを行っています。



―公共系プロジェクトの難しさはどこにありますか?


一般的な産業のプロジェクトでは、同業種の既存の業務ロジックを活用し、システムを開発するといったことも多いです。ただ、公共系プロジェクトの場合は、「要件」「業務ロジック」「規模」が案件ごとに異なり、それぞれオーダーメイドのシステム開発が求められるといった特有の難しさがあります。

また、特に住民の方々が使用するシステムなどは、不具合が起きてしまうと事故につながることも。すべてのパターンのテストを行う「全件テスト」も必要になるなど、設計~実装~テストの各工程における品質の高さは、かなりシビアに求められます。そのようななか、予算や納期の采配を徹底的に行い、実際に使用するユーザーのみなさんに安全性を担保したシステムを確実に届けるという点が我々の強みなんじゃないかなと思います。



日立製作所 瀬上様
SHIFT CATサポート担当 石井

―現在、どのようなプロジェクトでCATを活用していますか?


官公庁系のシステム刷新プロジェクトにおいて、CATを活用しています。私(瀬上様)がPMという立場を担っており、ここにいる4名(安藤様・金澤様・安田様・今井様)がPMOとして業務にあたっています。このプロジェクトは、社内のなかでも大規模な案件になります。関わる人数も多いため、品質や納期のコントロールの難易度が上がり、案件メンバー全員の進捗状況の可視化はかなり重要性を増します。そのため、PMOについてもこの人数で管理体制を構築してきました。

今回のプロジェクトでは、CATとRedmineを連携して利用しています。設計やプロジェクトマネジメントに関する上流工程のコミュニケーション基盤は以前からRedmineを活用しており、テスト工程に関する部分をCATにて管理しています。そのほか、Redmineの情報をもとに、EVMを可視化するツールなどもつくっています。テストだけでなく、設計・製造の可視化という点も重視しています。

*Redmineは、Jan Schulz-Hofen及びJean-Philippe Langの商標または登録商標です。



―プロジェクトにおけるテストフェーズの特徴を教えてください。


前提として、刷新前のシステムは長年稼働してきたものであり、移行が必要な蓄積されたデータの量が多く、またパターンも多岐にわたります。それに伴い、テストのボリュームがかなり大きいことが特徴です。なかには、想定外のデータなどもあるため、事前のパターンの洗い出しと念入りなクリーニングができるかなどもポイントです。

弊社では、第三者視点で品質をチェックする品質管理部門もあり、テストが網羅的に行われているかも厳しく管理しています。テスト別でいうと「単体テスト」「結合テスト」「総合テスト」、それぞれV字モデルに対してチェックし、各種指標やエビデンスなどまでしっかりと確認しています。我々のチームだけでなく、会社全体としても厳しい完了基準を設けているため、開発側のテストも品質管理部門のチェックをクリアできるよう、徹底的に取り組んでいます。

左より 日立製作所 金澤様、安藤様
左より 日立製作所 今井様、安田様

いつ、どこで不具合が発生したのか
リアルタイムの情報共有に課題



―CAT導入の経緯についてお伺いさせてください。


2019年頃に、別の公共系プロジェクトにてCATを初めて知りました。当時は、プロジェクトマネジメント全体として、作業の可視化ができていなかったため、進捗状況の可視化に課題を感じていました。そのような状況をうけ、Redmineを先行して導入し、プロジェクトマネジメントをはじめとするコミュニケーション基盤の可視化を実施していました。しかし、テスト工程においても、集計専任のメンバーが必要になってしまい、肝心のテスト管理に人が割けないという課題が発生。テスト工程も含めたすべての作業の可視化にも取り組むようになりました。

特に、課題と感じていたのはリアルタイム性です。これまでは、表計算ソフトで作成したテストフォーマットを長年活用していました。しかし、表計算ソフトでは同タイミングで同じ情報を見ることに限界があり、進捗の問題発生から確認までのラグが発生してしまうことが多くありました。1週間遅れでトラブルを検知するといったことも少なくなかったです。いつどこで不具合が発生したのか透明性をもって把握し、かつリアルタイムに情報共有することの必要性を感じ、テスト管理ツールの導入を検討。Webサイトでテスト管理ツールを検索していた際にCATの存在を知り、導入しました。

当時のプロジェクトでCAT導入後、リアルタイムかつ正確な可視化という点で効果が得られ、プロジェクトは無事成功。今回のプロジェクトでも規模の大きさやプロジェクトの難易度からCAT活用が必要と判断し、導入に至りました。

―CAT導入の際に苦労した点はありますか?


CATの存在を知っているメンバーが、私以外にはおらず、メンバーへの浸透といったところはやはり苦労しました。特に、長年経験を積んでいるメンバーにとっては、これまで使い慣れた表計算ソフトのフォーマットがあったため、新しいツールの導入には抵抗があったと思います。どんなによいツールでも作業プロセスが変更になることは、誰にとってもストレスに感じますよね。

ただ、以前Redmineを導入した経験もあり、一度業務フローができてしまえば、メンバーは抵抗なく活用してくれると思っていました。実際、業務フローの構築、チェックリストのフォーマット化など導入時に必要な基盤の整備、メンバーへのレクチャー、すべて含めて2~3か月で実施することができました。事前の操作教育や先行テストという形で実際にCATに触ってもらって慣れてもらったのは大きかったと思います。

また、どのプロジェクト・単位で管理するか、Redmineとどのように連携するかといったところは、CATがカスタマイズしやすいがゆえに、どう工夫して使うか設計する部分での苦労は少しあったかもしれません。 <後編へ続く>



左より 日立製作所 今井様、安田様、瀬上様、安藤様、金澤様

後編は、CATの強みやこれから期待することについて語っていただきました。

【後編】進捗管理の把握だけでなく、メンバーの評価もしやすい環境に
テストに対する意識醸成にも効果




後編は、CATの強みやこれから期待することについて語っていただきました。

【後編】進捗管理の把握だけでなく、メンバーの評価もしやすい環境に
テストに対する意識醸成にも効果